野外文化教育学会第14回大会が、「東日本大震災を乗り越えて生きる子ども、学校、地域-Ⅱ」を大会テーマとして、福島県いわき市の「いわきゆったり館」を中心に2日間にわたっておこなわれました。主な内容は、フィールド視察、自由研究発表、大会テーマと同名のシンポジウムです。
私は、事務局としての仕事もあったのですが、自由研究発表で「大学生のフィールドワークにおけるブログによる当事者記録の試み -伊豆大島での野外生活体験学習(大島キャンプ)の実践より-」を発表させていただきました。
本研究は、当ブログサイトと各自の携帯電話を利用したフィールドワークでの当事者記録の可能性と課題を検討したものです。学生のフィールドワークをブログによって記録する試みは、まだ少ないと思われるのですが、記録の即時性、参加者同士の共有、参加者以外への伝達、そして記録機器(携帯電話)への親密性などを考慮して、実際の大島キャンプで試みてみました。詳細な分析までには至っていないのですが、学生の投稿記事から、いくつかのことが考えられました。
一つ目は、こちらの予測より、特に回数の面において、学生達は活発にブログ記事を投稿していなかったということです。キャンプ期間中の自由時間は、一人で携帯電話に向かうよりも、学生同士の直接的なコミュニケーション(おしゃべり、手遊びゲームなど)を求める傾向にあったのです。これについては、キャンプでの協同的な活動による効果かもしれないので、その意味では評価できることです。ただし、積極的に記録を残すという意味からは、今後工夫が必要かもしれません。
二つ目は、キャンプ期間中の投稿では、なかなかそれぞれの経験の意味を掘り下げて考えることが難しいということです。キャンプ終了後の投稿記事に、そのような内容が期間中よりも多くみられました。確かに、不慣れなキャンプ生活では、じっくり掘り下げて考える余裕などないのかもしれません。負担が大き過ぎない程度に、キャンプ中だけではなく、キャンプ後にも投稿する機会を設けるなどの取り組みが必要ということが考えられました。
その他にも、ブログへの投稿を意識して主体的な経験内容(地域の方々とのかかわり、街での散策など)がより充実したこと、学生は情報を発信するだけではなく、教員や他の学生の情報収集や共有にブログの効果があったことなどが考えられました。
一方、ブログへの投稿は、大島キャンプでの学生への課題ではありましたが、学生達は大島キャンプでの豊富な経験内容を振りかえって考えながら記述してくれたことも確かなことです。この記録は、今後このキャンプを改善していくための貴重な資料になっていくことは言うまでもありません。キャンプおよび初めての試みであったブログでの記録に前向きに取り組んでくれた学生達に改めて感謝したいと思っています。
学会では、発表時やその後にも様々なご意見をいただきました。この場にて感謝申し上げます。
また学会事務局として、本大会の運営にご協力いただいたいわき市やその他の皆様方にもお礼申し上げます。
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