2013年10月11日金曜日

認定こども園母の会(浦和母の会幼稚園・たねの家保育園)への訪問 (高橋健介)

さいたま市の浦和区にある認定こども園母の会(浦和母の会幼稚園・たねの家保育園)を訪問してきました。このたびの訪問の目的は、11月上旬に2年生の幼稚園教育実習の事前指導をこの認定こども園母の会にておこなわせていただくため、その打ち合わせをさせていただきました。

東洋大学ライフデザイン学部子ども支援学専攻において、幼稚園教諭一種免許状を取得するための教育実習は、4年次に4週間おこなわれます。よって、本専攻の学生達は4年生になるまで幼稚園での経験はほとんどありません(保育所での実習はあります)。なかには、保育所出身のため、幼稚園での実習オリエンテーションまで、幼稚園に足を運んだことがない学生も数人いるといった状況です。そのようなことを認定こども園母の会のお二人の園長先生にお話していたら、それなら学生達(2年生)を園に連れて来て、この場で講義をしてみたらいかがですかと、とてもありがたいお言葉をいただきました。約100名の学生を園に連れていき、施設をお借りして講義をするのは恐縮だったのですが、学生達に幼稚園(認定こども園)をぜひ観てほしい、先生方のお話をぜひ聴いてほしいとの思いもあったので、先生方のご厚意に甘えて、本学の先生方と思い切ってこの場にて2コマの講義をさせていただくことにしました。何より、学生達にとって、保育現場の雰囲気を感じながら、母の会の先生方のお話を聴けることは、とても貴重な経験になるはずです。このような企画をご提案してくださったお二人の園長先生に心より深く感謝を申し上げます。

認定こども園母の会(浦和母の会幼稚園)は、その名にもあるように、これまでにも保護者や地域の方々と連携し、互いに支え合いながら運営されきた歴史のある幼稚園です。学生の実習等でたびたび訪問させていただくのですが、保育者の方々や、そして保護者の方々にも、ゆったりとしたあたたかい雰囲気が感じられます。子ども達もこのような環境のなかで、のびのびと好きな遊びに取り組んいます。園舎や園庭はそれほど広くはないのですが、むしろこの家庭的な環境もあってか、子ども同士が学年を越えて、子どもと保育者とが、お互いによく見合っている(見守られている)姿が見受けられます。子ども達は、こうした関係のもとで、安心し、時には刺激を受けて、積極的に遊びや活動ができるのではないでしょうか。

たねの家保育園は、この3月に新園舎が完成したのですが、その2階にある多目的室(ホール兼食堂)は、子ども、保育者、保護者、地域の方々、そして食事を作る方々が交流し、子ども達の豊かな生活を共に支える場となっており、これからの認定こども園として大きな可能性を感じられる場でもあります。

保育現場での2年生全体の実習事前指導は初めての試みになりますが、とても楽しみです。認定こども園母の会の先生方には、たいへんお世話になります!

なお、認定こども園母の会理事長(たねの家保育園長)の真﨑みよ子先生がご執筆された「幼保一体化施設の現状と今後の課題」(雑誌『保育の実践と研究』2013年9月号)に、本園の実践等が紹介されています。ぜひご覧ください。

帰りに、JR浦和駅近くのうらわ美術館で開催されている「えっ?『授業』の展覧会-図工・美術をまなび直す-」展を鑑賞してきました。各学校の斬新な図工、美術の教育実践は、どれも面白かったのですが、特に、香川県高松市で取り組まれている「芸術士のいる保育所」の実践と作品の展示がとても興味深かったです。一度高松に行って、その実践を観てみたいと以前から思っているのですが・・・・。

2013年10月10日木曜日

人形劇制作中! No.2 (高橋健介)

高橋健介ゼミ3年生(人形劇団にんじん畑)が11月2日(土)・3日(日)に開催される東洋大学朝霞キャンパスでの学園祭に向けて人形劇を制作しています。上演日(初演)が近づいてきましたので、急ピッチで制作活動がおこなわれています。(遅れ気味ですが・・・・)

上演される人形劇は、サトシン原作(絵:すがわらけいこ、アリス館)の「おれたちはパンダじゃない」です。人形劇の制作に際して、原作の使用をこころよくご承諾いただいたサトシン様をはじめ関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。

人形劇にした際にも原作者の意図が伝わるよう学生達は、人形や脚本づくりに丁寧に取り組んでいます。この頃は、遅くまで大学に残り、作業に勤しむ姿が見受けられます。ただし、これから残りの3週間が本当の意味での勝負どころです。楽しく、そして良質な人形劇になるよう最後まで妥協せずに取り組んでほしいと思っています。

ちなみに「人形劇団にんじん畑」の名称は、大学のキャンパスがある埼玉県朝霞市にはとても多くの人参畑があるのですが、この地域に根付いていってほしいと願って、学生達が考え、つけさせていただきました。

人形劇にご関心のある方、ぜひ東洋大学朝霞キャンパスの学園祭にお越しいただけますようお願い申し上げます。

2013年10月3日木曜日

ワイヤレスマイク付きビデオを使った保育実践研究 (高橋健介)

認定こども園あかみ幼稚園(佐野市)の先生方と「製作コーナーを基盤にした遊び保育の実践」の共同研究をおこなっています。4年目の今年度は4歳児クラスが対象となっており、本日は4回目の観察(記録)日です。

本実践研究の観察記録には、ワイヤレスマイク付きビデオを使用しています。このワイヤレスマイク(SONY製、ECM-HW2)は、Bluetooth によって受信機の付いたビデオカメラに音声を飛ばし、カメラの映像とともにその音声を記録できます。ここでは、対象クラスの先生(担任保育者)の腕にこのワイヤレスマイクを付けさせていただいています(感謝です)。よって、本ビデオ記録での映像は保育者を中心になるべくクラスの幼児全体を視野に入れて収録し、音声については保育者の声を中心にその周辺の幼児の声を収録することになります。

このようなビデオ記録をとるようになった経緯は、これ以前の実践研究では、担任保育者のクラスの幼児全体(クラスの幼児個々)の見取りと援助の関係を探るため、担任保育者を中心になるべくクラスの幼児全体を視野に入れて(俯瞰して)、ビデオで記録していました。この方法では、クラス全体の幼児達を担任保育者がどう見取り、どのようなタイミングで援助をおこなっているのかを把握することが可能でした。しかし、俯瞰して撮影しているため、保育者の個々の幼児やある群れ に対する援助のやり取り(特に会話)を十分に記録できないという課題がありました。

一方、これまでのビデオを用いた保育実践研究では、ある幼児の行動に着目し、その幼児の保育者や他児へのかかわりをズームして記録することが中心となっていました。焦点化されたある幼児の言動については詳しく分析できるかもしれませんが、その幼児の周辺にいて、直接かかわっていない保育者や他児との関係(互いに見合っている、互いの位置・身体の向きなど)が記録され難いので、その関係性を読み取ることが困難でした。むしろ集団保育におけるある幼児の言動は、この関係性のあり様に大きく左右されていることが考えられます。

この様な私と共同研究者(あかみ幼稚園の先生方)との研究課題、これまでの保育実践研究の課題について思案していたところ、偶然このビデオカメラに装着できるワイヤレスマイクを見つけ、実際のビデオ記録に試してみました。(担任保育者にワイヤレスマイクを付けさせていただきました。)  実際におこなってみると、俯瞰して撮影しながらも、今まで聞き取り難かった保育者の言葉やその周辺の幼児達の言葉がとてもクリアに聞き取れ、さらに記録されます。保育者の言葉やそこでの会話がより聞き取れるようになったことで、保育者のクラスの幼児達それぞれへの見取りや援助の意図が以前よりも把握しやすくなったことは確かです。

このワイヤレスマイク付きビデオを用いた実践研究の成果は、今年5月に開催された日本保育学会第66回大会の口頭発表(「製作コーナーを基盤にした遊び保育の実践(1) -4歳児保育における同調的な遊びから目的志向的な遊びへの発展に向けた援助-」)で報告させていただきました。

今年度の実践研究においても、このワイアレスマイク付きビデオを使って保育実践の観察および記録をおこなっていますが、俯瞰性と焦点化を併せ持つこの記録機器によって、少しでも集団保育での保育者の援助行為の特質が明らかになればと思っています。

来年度の日本保育学会第67回大会では、「ワイヤレイスマイク付きビデオを用いた保育実践研究の意義とその可能性」と題し、自主シンポジウムを開催させていただく予定です。この機器を使って保育の場でフィールド研究をおこなっている方々にご提案いただき、この記録方法の可能性や課題について検討します。ご関心のある方は、ぜひお越しいただき、ご意見等をいただければと思っています。

また、次回の「第5回 ワイヤレスマイク・ビデオ研究会(仮称)」においても、私の今年度のビデオ記録をもとに発表させていただく予定です。ご関心のある方はぜひご参加ください。

第5回  ワイヤレスマイク・ビデオ研究会
日    時:2013年10月25日(金) 18:30~
場    所:日本女子大学目白キャンパス 新泉山館6階 請川研究室
発表者:高橋健介(東洋大学)
テーマ :「製作コーナーを基盤にした4歳児保育の実践 -個々の作り見立てから協同的な遊びに
      向けた援助-(仮)」
連絡先:高橋健介 takahashi_k@toyo.jp

 「天高く馬肥ゆる秋」 あかみ幼稚園の運動会はもうすぐです。